小児科・アレルギー科

水いぼ(伝染性軟属腫)

水いぼとは

水いぼは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染によって起こる伝染性の皮膚疾患です。
皮膚の表面に小さな水ぶくれのような、または小さなイボのようなものができます。
1個だけの場合もあれば、複数個できる場合もあります。

大きさは1~5㎜程度で、色は肌色やピンク色をしています。通常、痛みやかゆみはほとんどありませんが、場所によっては擦れてかゆみを感じたり、まれに炎症を起こして赤くなったりすることもあります。

数が1~2個と少なければ自然に消えることが多いですが、数が多かったり掻いたりしている場合には、消えるまでに数か月から数年かかることが多いです。保育園や幼稚園など集団生活を送る場所では感染が拡がりやすいので注意が必要です。

水いぼの原因と症状

水いぼの原因

水いぼの原因である、ヒトパピローマウイルス(HPV)は、直接的な接触(皮膚同士の接触)や間接的な接触(タオル、衣類、おもちゃなどを介して)によって感染します。特に、皮膚の小さな傷口や湿疹などがある部分から感染しやすい傾向があります。そのため、プールやお風呂など、皮膚が濡れている状態や、身体の接触が多い環境では感染リスクが高まります。空気感染はしません。


水いぼの症状

水いぼの症状は、皮膚表面に生じる小さなイボ状の隆起です。水ぶくれのように見えるものや、表面がざらざらしているものなど、その見た目には多少のバリエーションがあります。通常は痛みやかゆみはほとんどありませんが、強くこすったり、傷つけたりすると痛みやかゆみが生じる場合があります。水いぼは、顔、首、腕、脚など体のどこにでも現れる可能性がありますが、特に皮膚の薄い部分や、汗をかきやすい部分にできやすい傾向があります。複数のイボが密集してできる場合もあります。

水いぼの治療

水いぼの治療法はいくつかあります。代表的な治療法を以下に記載します。

すぐに水いぼを除去したい場合

ピンセットを用いた除去

ピンセットを使って水いぼを直接つまんで取り除く方法です。
お子さんが水いぼを気にする場合や、しきりに触ってしまう場合は即効性の高いピンセットでの摘除をご提案する場合があります。水いぼの数が多い場合は、お子さんの負担を考慮し一度に5個程度の摘除を数回に分けて行います。
ピンセットでの水いぼ摘出は痛みを伴うため、麻酔テープ(ペンレステープ)を用いて痛みを最小限に抑えます。多少痛くてもすぐに水いぼを取りたいという方はご相談ください。なお、ペンレステープはクリニックで貼り、そのまま30~60分程待機していただく必要があります。


痛くない長期的な水いぼ治療

痛みに敏感なお子さんや、水いぼの数が少なく本人もあまり気にしていない(触らない)場合は、
治療期間がある程度必要なものの痛みが少ない治療法をおすすめしています。

銀イオンクリーム(治療期間:1~3か月間)

銀イオンには、抗菌効果により水いぼに感染した細菌やウイルスの成長を抑制し、治癒を促進する効果があります。1~3か月程度の短期間、患部に塗るだけで痛みなく治療できるのがメリットです。
ただし健康保険適用外なので、クリーム代金は全額患者さんご自身のご負担となります。
(1本あたり税込み2,200円です)

ヨクイニンの内服(治療期間:半年~1年間以上の場合もあり)

ヨクイニンは漢方薬として知られ、古くから皮膚の荒れやできものに効果があるとされています。水いぼの治療にも使用されます。ヨクイニンを内服することで、免疫力の向上や抗ウイルス効果を期待することができます。ただし、治療期間が半年~1年程度かかる場合があります。また、すべての人に効果があるわけではありません。

日常生活の中で気を付けること

水いぼの治療や予防においては、以下の点に気を付けることが重要です。

衛生習慣の維持

手洗いや適切な衛生習慣を守ることで、水いぼの感染リスクを低減することができます。

感染の予防

水いぼがある部分を直接触らず、他の人との接触を避けることが大切です。共有のタオルや衣類の共有も控えましょう。